その男、武千代

34歳、独身、借りぐらしの崖っぷち。

スポーツジムと武千代

私はかれこれ1年半くらいスポーツジムに通っている。

 

30過ぎて、運動もほとんどしてないし、お酒を飲むこと多いし、タバコも吸うし、生活も不規則なので体調管理も兼ねてジムに通い始めた。

 

仕事の終わりが遅いので仕事の日はほとんど行けないので、週に1、2回行ければいい方。仕事が忙しくなると行けなかったりもするので全然ストイックではなくマイペースに通っている。

 

ジムの良いところはスマホと距離を置けるところと、運動してる時は頭が空っぽに出来るところと、運動終わりの交互浴が気持ちよくて至福であることだろう。

 

普段、生活していてスマホをいじらない時間は短いし、仕事のことやらプライベートのことで考えることも多いし、仕事終わりが遅いので湯船にゆっくり浸かることも少ないのでジムに行くのは私にとってストレス解消と、体のメンテナンスに一役買っている。

 

 

 

 

というのは建前で、ジムに入会した当時、私はジムに通えば、ジムに通いさえすれば、ジムにいる可愛いおねいさんと仲良くなれると信じていた。

 

ジムにいれば

「体を動かすことが好きで健康的な趣味を持っている爽やかな男性」

というイメージが勝手におねいさんの中で醸造され、仲良くなるのも容易、正直チョロいくらいに考えていた。

健康的にもなって、おねいさんとも仲良くなれて一石二鳥じゃないかと。

 

しかし、私は平日休みのため、平日の午前中からお昼過ぎくらいの時間にジムに行くことが多い。

平日の午前中からお昼頃のジムの客層をご存知だろうか。

 

 

 

 

おじさんと、おばさんである。

 

 

 

 

年齢層には結構幅があるのだが、もれなくおじさんとおばさん。だいぶおじさんもいるし、ややおじさんもいる。もちろんだいぶおばさんもいるし、ややおばさんもいる。

 

しかし、若いおねいさんなんは、いない。皆無だ。

 

これは誤算だった。

 

平日の昼間、いつものようにジムに行くと受付でおしゃべりしているおばさん集団、男性ロッカールームにはおじさんだらけ、ジムエリア手前にある休憩所ではまた別のおばさん集団が陣取っている、ジムエリアに入ると右も左もおじさんとおばさん、レッスンをやっているスタジオの中もおじさんとおばさんがすし詰め状態、運動を終えてお風呂に入るとそこには大量の裸のおじさん。

 

もしもベジータがこの状況を見たらこう言うだろう、

 

 

「まるでおじさんとおばさんのバーゲンセールだな。」

 

 

と。

 

 

私も33歳なので「自分は若いぞ!」と大手を振って言えなくなって久しいですが、あの空間にいたら私なんて若手も若手。この年で最若手じゃないかって日すらある。33歳で最若手なんて久しぶりだ。

 

こんなはずではなかった。おじさんとおばさんに囲まれて体を鍛えるなんて想像してなかった。加齢臭を超えた老齢臭がキツイ日だってある。そんなの入会する時に聞いてない。説明不足じゃないか。おい、責任者はどこだ。

 

 

そんな出会いもトキメキもない中、私はただただストイックに体を鍛え、闇雲に、やや捨て鉢な気持ちで健康を増進している。

 

黒髪のショートヘアがよく似合う、引き締まった健康的なボディーで、20代中盤素敵な女性を待ちながら。