沖縄旅行 その壱
先日、5月に書いた日記でも触れた職場の社員旅行があった。
社員旅行に行きたくなくて色々策を練ってみる - その男、武千代
5月から約4カ月間、私はずっと行きたくない気持ちを抱え込んだまま過ごしていた。
そして、職場の人達もあまり乗り気でないことが当日が近づくにつれて明るみになっていった、ボス以外。
事の発端は職場の成績が7月から急降下したことにある。ビットコインの急下落並みに成績がガタ落ちした。
しかも悪いことに8月もその勢いのまま低空飛行。
これにボスは焦った。
9月もこの調子だと職場の予算達成が危ぶまれる程の急ブレーキ。
ボスは、完全に、焦った。
ただでさえ良い雰囲気ではない職場の雰囲気が、更に悪くなった。
「1番似てる有名人は戸愚呂弟」であるボスからは「低級妖怪なら消滅してしまう程の妖気」が毎日溢れ出していた。
職場の雰囲気は連日のお通夜状態。セレモニーホール勤務かと錯覚するレベル。
そして焦ったボスは我々に発破をかけるために、
社員旅行を人質に取った。
「この調子だと社員旅行の実施も検討し直さないといけない。」
「正直この成績だと社員旅行に行ってる場合じゃない。」
「社員旅行に行くためにももっとお前達は頑張らないといけない。」
ボスはこれらのフレーズを事あるごとに使い始めた。
確かにそうだ。2ヶ月続けて成績不振、予算の達成も危ぶまれている。浮かれて旅行に行ってる場合じゃない。私もそう思う。それは職場のメンバー全員も感じていた。
ただ、「みんな社員旅行楽しみだろ!?行けないなんて嫌だろ!?」という含みを持ったこのフレーズを何回も聞いていると1つの疑問が浮かんでくる。
果たして私はそんなに社員旅行に行きたいのか?
もともと「社員旅行否定派」だった私を含めた数名は初期段階からこの疑問と向き合った。
ハタシテワタシハソンナニシャインリョコウニイキタイノカ?
そしてボスが「社員旅行人質発言」を繰り返す度に、「社員旅行穏健派」だったその他のメンバーもこの疑問と向き合うことになり、最終的に職場の世論が、
「社員旅行そんなに行きたいわけじゃない。」
に行き着いた。
こうなると社員旅行は人質としてはもう機能しない。
みんなの心が社員旅行から離れてしまった今、社員旅行には担保価値が無い。その為に頑張れと言われても無理だ。頑張るだけの担保価値が無いのだから。
「社員旅行人質発言」を繰り返すボスと、社員旅行への価値を見失った我々の溝は深まるばかり。
更にボスは「社員旅行がホントに無いかもしれない」事に真実味を持たせる為に旅行に関する情報を一切公開しない。フライトの時間すらも。
更に深まる溝。
結局、情報が解禁されたのは旅行の2日前。しかも「旅行のしおり」までしっかり作成済み。なんだったんだよ、あの茶番は。フライトの時間は朝6時50分。朝早過ぎだろ。
そして旅行当日、沖縄に到着し、レンタカーを取りに行くボス。しばらくして戻ってきたボスが乗っていた車は、
マスタングの赤いオープンカー。
楽しみにしてたやん、ボス。絶対にマスタング楽しみにしてたやん。今までの茶番はなんだったんだよ。すげー前から予約してたんでしょ、マスタング。
マスタングの赤いオープンカーに乗った、戸愚呂弟に似たサングラスをかけて登場したボスを見て、私を含めた職場のメンバーは膝から崩れ落ちました。
長くなったので続きます。