Up The Bracket
今日、中華屋さんで遅めのランチとして「唐揚げ定食」を食べていると、これぞ紛うことなき緑!、な緑色のTシャツを着たおじさんが私の隣に座りました。
異常なまでに常連感を醸し出すその緑色のおじさんは座るや否や、
「つけ麺!」
とメニューも見ずに、常連感全開でつけ麺を注文しました。この緑色のおじさんはいつもつけ麺を頼んでるんだろうなぁ、と思いながら唐揚げを頬張っていると店員さんが、
「うち、つけ麺はやってないんです」
と申し訳なさそうに返答。
唐揚げ吹くかと思いました。
ないんかい!?って、あんなに常連感全開で、毎回俺はつけ麺頼んでるぞ、みたいな雰囲気でつけ麺頼んでたのに、つけ麺ないんかい!?
緑色のおじさんをツッコむべきか迷いましたが、さすがにそれはやり過ぎだし、緑色のおじさんもまさかの展開に少し慌てている様子。さっきまで紛うことなき緑色だったおじさんのTシャツも心なしかくすんで見える。モスグリーンくらいに。
2度もメニューに無いものを注文できないと思ったのか、おじさんはメニューに手を伸ばし、しばらく読み込んだ後に、
「冷やし中華」
をオーダー。
少し緊張する私。もしも、これもメニューになかったらどうしよう。
メニューを読み込んだのに、それすらもブラフで、もしくは先程のつけ麺がメニューになかったことで動揺して冷静な判断が出来なくなっているかも、いやむしろつけ麺が絶対あると思ってた根拠が気になる。
冷やし中華はメニューにあったようで無事にオーダーが通り、少し安心する私。
良かった良かったと、唐揚げ定食に舞い戻ると、おじさんがさらにオーダー、
「瓶ビールもらおうかな」
また自分が緊張していくのを感じる。おじさんはメニューを見ていなかったから。
あるのか、瓶ビール。大丈夫か、またずいぶん常連感出して注文してるけど。「瓶ビールください」じゃダメなのか、なんで「瓶ビールもらおうかな」なんてちょっとかっこつけて頼むんだ。あんたさっき常連感出して失敗したばかりだろ。「もらおうかな」じゃねぇよ、こんなチェーンの中華屋で、気取ってんじゃねぇよ。ホテルのバーで「マティーニもらおうかな」みたいなノリで言ってんじゃねぇよ。
と、心配していると店員さんが、瓶ビールを運んで来てくれたので安心して私は唐揚げ定食に再度舞い戻ることが出来ました。
しばらくすると、私の目の前に座ってお酒を飲んでいた髭もじゃのおじさんがおもむろにオーダー。
「チャーハン、よく焼きで」
新たなフェーズが始まる予感がする。