その男、武千代

38歳、モッズ系2児の父。

END OF SORROW

先日、実家に帰るために車を走らせていた。小一時間走って、実家近くのTSUTAYAの前まで来た。

 

「真夏の実家近くのTSUTAYA」には因縁というか、トラウマというか、忘れられない思い出のようなものが、私にはある。

 

あれは運転免許を取り立ての2006年、大学4年生の夏休み。特にやることもなく、実家の自室に引きこもってもう何周目かわからない「実況!パワフルプロ野球97決定版」のペナントで無双して過ごしていた。

ふと、大学生活最後の夏休みを10年近く前のパワプロのペナントで浪費するのはマズい!!、と危機感を覚え、どこかに何かしに行かないともったいない!!、と思い立ち、運転の練習も兼ねて実家近くのTSUTAYAに行くことにした。

 

実家からTSUTAYAまではホントに一本道で、ただ真っ直ぐ走れば到着するというイージーな道のり。

当時、実家の車にはカーナビもなかったし、スマホもGoogleMapもないガラケー時代であっても迷うことはない、と自信を持って出発しました。

 

ドラマチックな展開など起こることもなく、無事にTSUTAYAに到着。さっさと車を停めて店内でCDでも物色してやろう、と駐車場へ向かうとそこは

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こんな感じの自走式の立体駐車場で、写真のようにクルマ2台分の駐車スペースの脇に柱が立っているタイプ。

 

平日の真昼間だったので車も少なく、2台分のスペースが空いているところを見つけて駐車を試みるもなかなかうまくいかない。

バックモニターなんて便利なものはないのでサイドミラーと、さらには窓を開けて後方確認をするも、うまくいかない。立体駐車場の柱が気になって仕方ない。見えない、柱が、見えない。バックで駐車をした経験がほとんどないので、バックの時にどっちにハンドルを切ったらどう曲がるかがわからない。

 

ああでもないこうでもないと30分程格闘し、

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こんな感じに停めるはずがどこをどう間違えたのか、

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こんな感じになっていました。

 

まさかの展開にテンパる私。縦に2台分の駐車スペースに、横に停まる車。悠然と横に停まる、車。駐車場に入ってくる他の車からの、好奇の眼差し。テンパる私。

 

今考えると逆に凄い。もう一度こんな風に停めろと言われても、出来る自信がない。

 

視線をビシビシ感じながらも縦に駐車しようと、ちょっと動かしては車を降りて柱までの距離を確認しを繰り返し、さらに30分程格闘し、ようやく

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縦に駐車することが出来ました。

 

この時、家を出て既に1時間以上経過。自転車で来れば10分程度で店内に入れたはずが、痛恨のタイムロス。「大学生活最後の夏休み」という貴重な数時間を、TSUTAYAの立体駐車場と格闘し浪費する私。

 

駐車をすることは出来たものの、極限の緊張感を経て、私は疲労困憊。さらに真夏だったので汗だく。正直、もはやTSUTAYAでCDを物色する気力を失いかけていましたが、ここまで来て、これだけ辛い思いをしてせっかく駐車したのに何も買わずに帰るのはあり得ないと奮起し、残る力を振り絞り、TSUTAYAの店内へと向かいました。

 

その時、何を買ったか、もうすっかり忘れてしまいましたが、TSUTAYAでのこの経験がトラウマとして私の心に暗い影を落とし、立体駐車場に苦手意識を植え付け、それは社会人になり、毎日車の運転をするようになってもしばらく消えずに残っていくのでした。