Invaders Must Die
先日の日記に書いたあたりから、The Prodigyばかり聴いている。それはもう狂ったように聴いている。
久しぶりに聴いているが、The Prodigyの楽曲はヤバい。The Prodigyを知らない人に彼らの音楽性を端的に説明すると「凶悪」の一言に尽きる。音楽のジャンル的に「凶悪」と言うカテゴリーにカテゴライズするのが1番しっくりくる。
The Prodigyの楽曲は「ダンスミュージック」とかいう生温いものでは決して括れないし、本質を捉えていないと、私は感じている。
彼らの楽曲は「問答無用」なのだ。問答無用でリスナーのテンションをぶち上げる。問答無用でリスナーの暴力性を増幅させる。問答無用でリスナーを暴徒化させる。彼らの音楽に触れると問答無用でいつも温厚な人も攻撃的になる、それくらい「凶悪」な音楽だ。恐ろしい。
CDの音源でも「凶悪」なThe Prodigyだが、ライブはもっと「凶悪」で、危険だ。ライブ会場が、一瞬で暴徒化する。これは誇張ではなくて、本当にそうだと断言できる。なぜなら私はその現場を目の当たりにして、なんなら最前線で体験したことがあるからだ。
あれは2015年のSONICMANIAだったと思う。大学時代の友人と2人で参戦し、The Prodigyのライブを体感した。
開演前の少し前から会場に入り、じわじわと前の方へと移動する。1曲目はなんだろねぇ、とか友人と平和な会話をしながら開演を待つ。
開演が近づくにつれ、徐々に人が増えてくる。とは言っても、比較的普通そうな人達ばかりで、全身タトゥーとかラインの入ってる坊主みたいな見るからにヤバそうな人はいない。
開演時刻、会場が暗転し、サイレンの音が鳴り響き、照明がグルグル回りだす。一気に盛り上がる会場、盛り上がる我々。
メンバーが登場し、更に盛り上がる会場。後ろから押されてどんどん前に進む我々。ボチボチ前の方だった我々は、気付くとほぼ最前列。
サイレンが止み、すかさず1曲目、The Prodigyの代表曲「Breathe」でライブがスタート。1曲目からエグい選曲。
その瞬間に、周囲の観客が一気に暴徒化し、本能のままに暴れ始めた。
そこら中でモッシュピットが出来上がり、気付くと我々もモッシュピットのど真ん中。暴徒化した観客にもみくちゃにされ、開始早々はぐれる我々。そこからはもう音楽を聴くどころではなく、暴徒に蹂躙されないように必死で抵抗するばかり。
なんとか「Breathe」を乗り切って、ホッとする暇もなく2曲目「Nasty」。改めて、選曲がエグい。凶悪さの大盤振る舞い。
更なる燃料を投下された観客は、モッシュピットでホントの暴徒のように暴れ狂い、その中でいたぶられ始める私。体力が保たない、まだ2曲目だが、体力の限界が迫り始めている。30歳過ぎたおじさんにモッシュピットは酷だ、過酷過ぎる。
2曲目が終わった段階で、完全に消耗した私はモッシュピットから脱出し、後方の安全圏へ移動し始めたところで、3曲目「Omen」スタート。
殺す気だ、あいつらうちらを殺す気なんだ。
モッシュピットが再び盛り上がり、逃げようとする私は暴徒に再びモッシュピットに押し戻される。これはホントにヤバい、もう暴徒に殺される。
そこから先は何がどうなったかわからない。必死でモッシュピットの中で逃げまわったんだと思う、少し泣いたかも知れない。
「Omen」が終わり、一瞬の隙間を突いて、私は人混みをかき分け、後方の安全圏まで退避することが出来た。もはやボロボロで、体力も失い切った状態だった。危なかった、ここで逃げきれなかったら確実に死んでいた。
ボロボロのまま安全圏からライブを鑑賞していた。前方ではライブの最後まで暴徒がモッシュピットで暴れ狂っていた。体力が無尽蔵なのか、奴らは。
ライブが終わり、友人と合流する。彼はライブが始まってすぐ、モッシュピットから弾き出され、安全圏からライブを鑑賞したそうだ。ボロボロの私とは違い、元気そうだった。
2度と、The Prodigyのライブでは前方に行かないと誓った夜だった。