その男、武千代

38歳、モッズ系2児の父。

ばけものぐるい

朝令暮改

 

という言葉がある事は、私もジャパニーズビジネスマンの端くれなので知っている。

 

過去に朝令暮改的な指示が多い上司にも当たったことがあるし、社会人生活が長くなると、まぁそういう人もいるよね、なんでみんな偉くなると朝令暮改的になるのかな、ってな具合に諦め半分、慣れ半分で大して気にもならなくなってくるもの。大人になるってそういうことよね。

 

 

と思っていたが、世の中には理解の範疇を超える存在がいる、改めてそのことに気付かされた。

 

 

朝と夜とで、というか一日中、いやさっきと今レベルで言ってる事とやってることがチグハグで、「時間を大事に使わないといけない」という話を1時間以上してみたり、コロナ対策のために我々には色々と指示を出すくせに自分は定休日にgotoで旅行してみたりと、アクロバティック過ぎてもはや理解が追いつかない。とにかくヤバみだけはひしひしと感じ取れる状況。

 

例えるなら、ドニー・イェンとマックス・チャンの組み手アクションが早すぎて何をしてるかわかんないけどとにかくかっこいい!「イップ・マン3」を見てる感覚に似ているかも知れないし、全然違うかも知れない。

 

こうなると私の悪い癖で、このヤバみが逆に面白くなってきてしまう。今日はどんな無茶苦茶な展開が待っているんだ!?とワクワクしてしまう。自分が対象になってもならなくても、目の前で繰り広げられる大スペクタクルな「朝令暮改」的な展開を期待してしまう。

 

まともとは言えない環境ではあるけれど、毎日ドキドキワクワクして暮らせるし、コロナの影響でエンタメの少ない現状では貴重な存在となりつつある上司。

 

その上司と先日ランチを一緒に食べた時に、

「武千代くんも私みたいに臨機応変に対応できるようにならないとダメですよ」

というアドバイスをいただいた。

 

「そうですね、勉強になります。」

と相槌を打ちながら心の中で、

「物は言いようだなぁ」

と思いながらカップの水をがぶ飲みした。

 

お会計は、割り勘だった。